KJ法

KJ法の活用

ビジネスに関する理論として最後に紹介するのは「KJ法」というものです。
このKJというのは発案者である川喜田二郎という人のイニシャルから取られているものであるため、名前自体からは内容を連想することが出来ません。
この内容は、簡単に言うと「情報をパーツとして、ボトムアップを行っていく」という経営改善方針です。

ボトムアップを行なうための方法を提案しており、大まかには以下のような流れとなります。
まず、テーマとなりうることを1枚に1つずつ書き出していきます。
これを関係のありそうな物同士でグループを組ませるように並べていきます。
そして、それぞれのカテゴリー毎に名前をつけ、それぞれのグループがどう関係しているのかを考えます。

つまり、経営全体の問題を一つ一つ上げていき、その関連性を明らかにする、というのがこのKJ法の基本的な骨子となります。
物理的な手間が掛かる方法である、ということで一定の批判がある方法でもありますが、ツールなどを使って行って手間を省いてももちろん問題はありません。

有用性はどこにあるか

では、わざわざ書き出してそれを動かす、という物理的な動作を伴う思考法に、どのようなアドバンテージがあるのでしょうか?
物事を大枠で考えて構成していく、というのは、簡単なようで難しいことです。
一つ一つの関係性にまで思慮を巡らすとなると、かなりの思考を必要とし、ミスが多くなってしまいます。

そのため、敢えて手間を掛けて書き出すことによって、本来すべてアタマのなかで行なわなければならないことを紙面で行えるようにするわけです。
こうすることで、脳の処理を減らし、より良い考え方が出来るようにする、というのがKJ法の目的とする部分です。

SWOT分析

経営分析フレームワーク

経営分析にはいくつかのフレームワークがあります。
1つは先に紹介した3C分析というものです。
今回はもう1つのフレームワークとして「SWOT分析」というものについて紹介します。
内容はもちろんのこと、利用が適している状況に違いがあります。

SWOT分析はビジネスの機会を明らかにするのに適しています。
新しい事業の展開を行なう場合や、戦略を考える場合、マーケティング戦術を練る場合に効果的です。

このSWOT分析は、Strength,Weakness,Opportunity,Threadという4つの観点から経営方針を分析して判断することを言います。
順に見て行きましょう。

Strengthは、強みのことです。
つまり、自分の会社が得意としている分野はなんなのか?ということを把握するという意味があります。

Weaknessは、弱みのことです。
Sとは逆に自分の会社にとってネックとなる部分を判断し、それをどう埋め合わせするのか、ということを考えるための分析です。

Opportunityは、機会のことです。
自社にとってチャンスとなるような要因がないか?ということを判断し、機会を逃さないようにするという意味があります。

Threadは、脅威のことです。
自社を脅かす問題がないかどうかを見つめ、それに対する対応の方法を考えます。

SWOT分析のやりかた

では、実際にSWOT分析を行なう場合の手順について紹介します。
このSWOT分析において重要なのは、まずは外部要因について分析を行なうということです。
SWOTのうち、外部要因に当たるのはOとT、つまり機会と脅威です。

まず最初に、自分の会社を取り巻く状況について考えるようにしましょう。
この部分は、自分の力で変化させることが出来ない部分であるため、優先的に考える必要があります。
政治の変化や経済の変化、海外の動向、他社の参入、撤退など、機会や脅威に当たるファクターは多く存在します。

そしてその後で、内部要因であるSとW、強みと弱みを分析します。
機会と脅威に合わせて自分達の強みをどう活かし、弱さをどうカバーするのかを考える必要があるわけです。

3C分析

3つのCから分析する

経営分析手法の1つとして「3C分析」というものがあります。
これは名前の通り、3つのCから始まるものについて分析を行なうことによって、より良い経営に繋がる方針決定を行う、という手段です。
まずは、3つのCがどのようなものか紹介します。

1つ目のCは「Customer」です。
これは顧客、市場という意味で、分析時には外部環境、外部要因と呼ばれます。
自分達の業種が仕事をしている市場の規模や、将来性、今どのようなものにニーズがあるのか、さらにどのようなスタイルで購買が行なわれているのか、というのがこのCに該当します。

2つ目のCは「Competitor」です。
これは競合、という意味で、分析時には外部環境、内部要因と呼ばれます。
これは同じ業界に参入しているライバル企業の経営や、強み、弱みなどの分野となります。

3つ目のCは「Company」です。
これは自社のことを指しており、内部要因と呼ばれる分野です。
この分野においては自分の会社がどの程度の技術や販売力を持っているのか、あるいはブランド力、集客力、人材があるのか、というようなことを総合的に判断する必要があります。

3C分析の活用

では、実際に3C分析行う場合にはどのように行えば良いのか?ということについて紹介します。
この分析方法において重要なポイントは、「状況の変化」です。
例えば市場や顧客のニーズが変化していないか、ということや、自社のブランド力に変化がないか、ということ、さらにはあらたしいライバル会社の登場などによる変化がないか、ということに注目します。
特にマクロ(大きな視点)分析においては、P.E.S.Tという4つの観点から分析が行なわれます。

PはPoliticsで政治のことです。
政治も経済に大きな影響を与えるため、政権の方針などを見ておく必要があります。

EはEconomyで経済のことです。
円高、円安などといった傾向も物価の上下に大きな影響を与えます。

SはSocietyで社会のことです。
社会全体の風潮の変化などによってニーズが変化する可能性は十分あります。

TはTechnologyで技術のことです。
技術が変化すれば、仕入れ値などの変化が起こる可能性があり、相場の変動が考えられます。

これらを分析し、自分達の経営状態に落としこんでいくのが3C分析です。

ロジックツリー

効率低下の問題を見つめる

業務改善を行おうとしても、どうしても失敗してしまう、ということはよくある問題。
では、何故業務改善が失敗してしまうのでしょうか?

その問題点は様々ですが、特に大きな問題点であるのが、経営者が「誰かのせいで失敗している」と考えることだ、と下記サイトでも紹介されています。
>>http://www.itmedia.co.jp/im/articles/1004/21/news107.htm

この「誰か」には、様々なものが当てはまるでしょう。
例えば「ライバル会社」、「政治の方向性」などは外部的要員としてよくやり玉に挙げられます。

確かにこれらの問題は、自分で解決することが出来ないものですが、それを理由にして業務改善が進まない、と嘆いても当然状況は改善しません。
諦めて対応をやめてしまえば、悪化の一途をたどります。

そして何よりも問題なのが、「社員」に責任転嫁をすることです。
経営者として、絶対にやってはいけないのが、「この社員が問題で解決できない」という判断。
社員に問題があるのは経営者に問題があるからだ、と改めて考え、それを元にした経営方針の転換を行っていかなければなりません。

業務改善は、ゴールがあるものではありません。
1つの目的に到達したら、次の目的を見つけて改善を続けることが重要です。

これはすべての企業だけではなく、資本主義自体にも言えることですが、立ち止まると崩壊するように出来ています。
業務改善を人のせいにせず、より根本的な解決を目指すために利用することが出来るのが、「ロジックツリー」の考え方なのです。

ロジックツリーの考え方

ロジック

ロジックツリー、直訳するのであれば「理論の木」。
結果というのは、多くの原因が存在しており、樹形図のように広がっています。

原因には他の原因があり、他の原因にはさらに他の原因があるのが常です。
このツリーをたどっていき、根本原因にたどり着くことがロジックツリーという経営理論になります。

この時、個別の問題に注目するだけではいけません。
同時に、問題同士の縦と横の繋がりにも注目する必要があります。
単独で問題を噴出させているのではなく、よりからみ合って問題となっている可能性もあるためです。

縦の問題というのは、アウトプットとアウトカムの2つの関係性から考えることが出来ます。
アウトプットは自分で出来ること、そしてアウトカムはそれによって起こることを指しています。
この2つは似ているようで全く違った存在なので、間違わずに把握し、業務改善に結びつける必要があるといえるでしょう。

2:8の法則

業務を2:8で考える

ABC分析の項目でも多少触れましたが、ここではより具体的に「2:8の法則」について紹介します。
この法則はパレートの法則と呼ばれることもある、というのはすでに説明したとおり。
このパレートの法則を経営に落としこむためには、まず自分でパレート図を作成しなければなりません。

パレート図の作成の仕方については、下記サイトに紹介されていますので、参考にして下さい。
>>http://www.nsspirit-cashf.com/logical/how_to_make_pareto.html
経営情報からこのパレート図を作成したら、次に法則通りになっているかどうかを確認しましょう。

このパレート図からわかることは、数多くあります。
顧客と売上数のバランスや、商品売上と全体売上の関係、胡椒の原因と部品の割合、プログラム処理と時間の関係、などなど枚挙に暇がありません。
問題がありそうな分野に関してのパレート図を作成し、状況を把握することがまず第一です。

活用の方法

では、実際にパレート図を活用するための方法について紹介します。
最初に行なうべきなのが、パレート図を元にして戦略を考えること、そして、この戦略においてやってしまいがちなミスであるのが、「すべてを解決しようとする」ことです。
業務の改善は、一つ一つやっていくしかない、地道な作業であることを念頭に置いておきましょう。

次に、顧客満足度の調査です。
主にサービスの対象となっていなかった人や、戦略対象ではなかった人から問題が発生しています。

こういった問題を放置しておくと、今度はメイン層にも不満が広がってしまう可能性が出てくるでしょう。
水際で問題を停止させるためにも、それぞれの問題点を見て差別化し、解決に努めることが重要です。

最後に、ウェブ経営の目安にする方法。
ウェブ経営においては特に上位層と下位層との差が大きく、パレート図でも把握しやすくなります。
アイディアの創出に活用するなどして、より良い経営が出来る形態を考案するようにしましょう。

同時に、マーケティング戦略を取ることがパレートの法則の利用において重要です。
ただ図にしただけで満足してしまっては、効果に期待が出来ません。

ABC分析

業務スピードの改善

第一のビジネス理論として紹介するのは、「ABC分析」という理論。
このABC分析というのは、簡単に言うと、「多忙な業務を半減し、業務スピードを改善する」という目的で利用されます。

別名ではイタリアの経済学者の名前を取って、パレートの法則と呼ばれることもあります。
この理論の主幹となっているのは、「多くの経営要素は2:8にすることが出来る」経験則です。

このABC分析に関しては、下記サイトにも詳しく紹介されているので、参考にしてみてください。
>>http://www.s-naga.jp/k-page/17-28.html

一例としては、「売上の八割は上位顧客二割が出力している」、「売れ筋の二割の商品だけで全売上の八割を占めている」などが挙げられるでしょう。
もちろん、業種や企業によってある程度変化し、9:1や7:2になっていることもあります。
いずれにせよ、企業内の様々な部分をA(上位)、B(中位)、C(下位)の3つに分類することによって、業務のスピードアップを図る、というのがこの手法の根幹となるのです。

まずAについては、商品をしっかりと管理し、絶対に欠品を出してはいけない商品。
売上の8割を締める2割の商品がこれにあたっているため、ここが欠けてしまうと、全体の業績に大きく影響します。
同時に満足度などを向上させることが出来る商品でもあるため、ここに力を注ぐことによって、経営全体を向上させていくことができるでしょう。

この分野は、「ニーズ」、「ウォンツ」、「シーズ」という3つのカテゴリーから情報を収集し、改善を行なうことがカギになります。
ニーズは、社会、あるいは個人が要求していることで、これを掘り起こすことで新しい商品分野の開拓に繋がるもの。

ウォンツは、ニーズに対して供給されるもののことを指しています。
そしてシーズは、ウォンツの生産のために必要となるリソースのことです。

次にB分野についてです。
この分野の商品は見極めが肝心。
今後成長し、A分野になることが出来るものなのか、あるいは今後衰退し、C分野になってしまうものなのか、しっかりと見極める必要があります。

扱い方もそれによって適宜変更していく必要があり、この分野の取り扱いによって経営全体が大きな影響を受けることは間違いありません。
出来るだけ短期間毎に調査を行って状況を見極めていくようにしましょう。

最後に、C分類です。
この分野は死に筋と呼ばれる分野となりますが、だからと言ってすべて切り捨てて良いかというと、そうではありません。
少ないながらも顧客が発生しているためです。
ニッチ市場だと考えて供給を続け、提供方法を変えるなどして効率化を図っていくことが重要になるでしょう。

ABC分析からの業務改善

では、より具体的にABC分析を経営に落としこむとどうなるでしょうか。
まず最初に行なわなければならないのが、経営指標における人員の過不足の把握です。
分野によって必要な人材の数や能力が違っており、これを間違いなく分配できているかを確認しましょう。

その上で、業務を時間軸に分類し、適切なフローチャートを作って効率化していくことが大切です。
無駄な仕事に時間を食われるのではなく、有益な仕事に手間を掛けられるようにするのが求められるでしょう。