トヨタ式ホワイトカラーの業務改善

トヨタ式ホワイトカラー改善法

日本に置いて最大の自動車会社であり、世界的にも有名な企業であるのが「トヨタ」です。
愛知県豊田市に本拠地を置くこの会社は、技術力の高さもさることながら、業務の腕も非常に優れています。
そのトヨタの業務改善を元にして考案されたのが「トヨタ式ホワイトカラー業務改善」というものです。
別名、業務プロセス可視化法、とよばれることもあります。

この方法は、経営学の重鎮であるドラッカー博士の助言を受けて作られたもので、業務改善に置いて実際に行なうことが出来る例を示しています。
この業務改善方法には大きく5つのポイントが存在しています。
一つ一つをしっかり見つめ、自分の会社に当てはめた時にどうか、ということを考えてみると良いでしょう。
大きな改善を行なうことが出来るかも知れません。

5つの改善ポイント

まず第一のポイントとなるのが「業務プロセスの可視化」です。
会社全体の業務がどうなっているのか、というのは、大企業になればなるほど末端の人には見えなくなってしまいます。
業務全体に対して自分の仕事がどの部分にあたり、どういった必要性があるのか、ということを把握しているかどうか、ということは仕事をする人にとって非常に重要な役割を担っています。
与えられた仕事だから、ということで漠然と仕事をし続けるのと、自分の仕事にも意味があると考えて積極的に仕事をするのとでは、業務の効率大きな違いが生じることは想像に難くないでしょう。

このポイントにおいて最も重要なのは、仕事をしている人すべてが「自分の仕事には価値がある」と思える環境を作ることです。
自分が仕事をしても意味がない、ただ給料のためだけに仕事をしている、という人が多ければ多いほどマンパワーは低下し、会社全体の士気が下がります。
同時に「時間を無駄にしない働き方」や「自分のスキルが活かせる仕事」というものをそれぞれの人に考えてもらうことも重要になります。

二つ目のポイントは、「仕事のチャート化」です。
これは上述の業務プロセス可視化を行なうための手段の1つだと考えれば良いでしょう。
業務プロセスに置いて、最も小さい単位の仕事がどこにあるのか、ということを把握し、その仕事を基準にして社員の労働能力を見ていく、というものです。
スキルがある人にはよりよい仕事を与えるようにしていくわけです。

こうすると1つ問題になりそうなのが「スキルがない人」です。
このような体制にするとスキルがない人が置いて行かれ、やる気をなくしてしまいそうなものですが、実際にはそうはなりません。
自分の出来る範囲での仕事を考えるようになり、より良い仕事が出来るように考える人を育成することができます。

三つ目のポイントは「適材適所を徹底する」です。
適材適所、というのは言葉にすると簡単ですが、企業でこれを実現するのは簡単なことではありません。
というのも「人材」と「場所」、その両方を具体的に把握していなければいけないためです。
良いスキルを持っている人のことを知らなければ、その人を起用することはできません。

さらに、現場の人数調整についても細かく把握しておく必要があります。
繁忙期と閑散期で、同じ人数配置にしておくのは良い経営とはいえません。
こうすると得てして繁忙期には非常に忙しく、閑散期には人が余るというどちらにも困った状況が発生してしまいます。
部署毎に時期の仕事量をリサーチし、適切に活用していくことが重要です。

四つ目のポイントは「システムの構築を容易にする」ことです。
ここまで紹介してきた方法というのは、「人」を活かす方法です。
一人一人の人材の能力を向上させ、同時に能力を発揮することが出来る場所に配置することによって無駄を省いています。
業務の把握を行ないそれらを行なうだけで、業務上必要となるシステムを大幅に圧縮することが可能です。

大企業にありがちな、認証などで無駄に時間を取られてしまう、というような問題もこの方法を利用することによって抑制することができます。
プロセスが一人ひとりに見えているからこそ、無駄となっている部分がわかり、改善が進むのです。

そして最後に五つ目となるのが「人材を育成する」ことです。
昨今の企業において大きなコストとなっているのが「アウトソーシングの拡大」です。
アウトソーシングは一時的な穴を埋めるのには効果的ですが、長期的に業務すべてをアウトソーシングするとコストが無駄になります。
アウトソーシングを行いつつ、その分野を自分で行なうことが出来る人材を育成していく方が、最終的な費用対効果が高まるわけです。

トヨタ式、というだけあり、どちらかというと大企業向けの経営戦略です。
ただし、中小零細企業においても一人ひとりの力というのは重要な意味を持っているため、見つめなおして経営改善に活かしていくと良いでしょう。

コンサルタントを正しく利用するには

コンサルタントを正しく使う

業務コンサルタントや経営コンサルタントを利用することは、会社の経営状況を詳らかにし、同時に改善の糸口を見つけるための客観的な第三の視点として非常に重要な役割を持っています。
同時に、経営や業務に関する専門家でもあるため、自分たちの知識では足りない部分を補ってもらうことも出来る、非常に重要な存在です。
良い業務改善を行なうためには、コンサルタントを使うということを選択肢に入れないわけにはいかないでしょう。
ただし、コンサルタントの利用というのは、何でも利用してその通りに従えば良い、というものではありません。

まず、コンサルタントについて考えておくべきなのが、「あくまでも経営・業務の専門家である」ということです。
彼らは商売の専門家ではありません。
同時に、あなたの企業が属している職種の専門家でもありません。(コンサルタント業をやっている会社なのであれば別ですが……)
そのことを把握しておかなければ手痛い失敗を犯してしまう可能性があります。

コンサルタントについて最も重要なのは、前述の通り客観性を保有した第三者である、ということです。
これをわきまえずに利用しようとすると、かえって状況を悪化させてしまう可能性もあります。
では、どのような時にコンサルタント利用の問題が発生するのでしょうか?
問題になりやすいコンサルタント利用と、そうしてしまいがちな経営者について紹介します。

コンサルタントの問題点

コンサルタントを使うに当たって、失敗してしまう可能性が高いポイントは4つあります。
まず第一に「経営をすべてコンサルタント任せにする」ということです。
中にはこれが出来る、とういうことを売りにしているコンサルタントもあります。
確かに一時的な問題があり、難局を一旦乗り切ることが出来れば問題がない、というタイプの業務問題に関してはこの利用方法を選択することも不可能ではありません。

しかし、コンサルタントというのはあくまでも経営に関してリスクが発生するようなことはしません。
そのため、経営コンサルタントに全てを任せていると、結局会社として残るものがない、という事態に陥ってしまいます。
ノウハウが会社に残らなければ、今後また問題が発生した時にはコンサルタントに丸投げする、という無駄な出費を増やすことになります。

第二の問題点として「コンサルタントは正解を知っている」と思い込んで利用することです。
そもそも経営というのは、正解があるものではありません。
実際にデフレが起こるまで、デフレという概念が経済学に存在していなかったように、経営においても状況によって新しい局面を迎える可能性は十分にあります。
経営コンサルタントの仕事はあくまでも今までの統計を元にして経営を組み立てることであり、未来視によって正しい答えを見つけることではありません。

第三の問題点は「問題点を隠蔽する」ことです。
会社にとって、見られたくない部分、というのは確かに存在していることでしょう。
特に経営に関しては知られたくない部分が多い分野でもあります。
ただ、問題点を隠したままでは経営コンサルタントに経営の相談を行なうこと自体が無意味になってしまいます。

例えば問題がある部分があるとしても、それを見てコンサルタントが怒ったり、なんてことはありません。
あくまでも相談相手に徹するのがコンサルタントの役割です。
一切問題点を隠さずに提供することでこそ、より良いコンサルを期待できます。

そして最後が「フィーの出し惜しみする」ということです。
ただより高いものはない、という言葉はこの分野においても重要です。
相手は経営に関して責任を負っている存在ではないため、当然報酬を安く済ませようとすればその分仕事も安く済まされてしまう可能性があります。
もちろん、過剰に出す必要はありませんが、適切な報酬で契約を結ぶことが重要です。

では、どのような人が失敗しやすいのか?ということについても加えて紹介しておきます。
まず、自社について把握していない人です。
自分が経営者であったとしても、細かい部分についてまでは把握していない、という人も多いのではないでしょうか。
コンサルタントに相談する以上、出来るだけ細部まで把握している人が適任です。

次に、会社は経営者のものである、と考えている人です。
確かに設立を行ったのは自分かも知れませんし、今主導権を握っているのは自分かも知れません。
しかし、会社というのは人の集合体であり、自分たちだけで成り立つものではない、ということを念頭においておく必要があります。
他の社員の意見を意味がないものと捉えるのではなく、全員が一体となって会社について考える姿勢を示す必要があります。

最後に、視点の基準が自分である、という人です。
経営者である自分の視点が最も正しく、他の人の視点というのは取るに足らないものだ、と考えている人は、経営コンサルタントからの意見も素直に聞くことが出来ません。
そうなると、折角の相談相手が完全に無駄になってしまうでしょう。

業務改善とは?

業務改善の意味

業務改善、業務改善と簡単な言葉で表現していますが、実際この業務改善というのが具体的に何を指しており、どのような意味があるのか、ということをしっかり把握しているでしょうか?
なんとなく漠然と業務を改善しなければならない、という考えだけでは、具体的な改善内容を考える事は出来ません。
漠然とした方針の決定というのはその後の経営に大きな影を落としてしまう可能性もあります。
むしろ、何もしなかった方がまだマシだった、というような悲劇的な結末を招いてしまう可能性も十分考えられるでしょう。

業務改善にはいくつかのアプローチを考えることが出来ます。
1つは、運営者側が自分自身に対して行なうアプローチです。
業務の内容や方針など自体を転換することによって業務を改善する、というのがこの考え方です。
会社として大きな方向転換を行なうことになるため、情勢を読み取って考える必要があります。

ハイリスクではありますが、成功時のリターンも非常に大きくなりやすいのがこの業務改善のメリットです。
そのためには、客観的に自分たちの業務について見つめることが出来る存在が必要です。
社内の人間は自分の会社にとってよく知っているというメリットがある反面、客観的に見ることが出来ないというデメリットがあります。
慣れ合いのような業務改善にならないように、外部の目をいれることを考えましょう。

もう1つのアプローチは、運営者側が労働者に対して行なうアプローチです。
方針自体には問題がないものの、労働者の作業効率が悪いなどの問題がある場合に行なわれます。
もちろんこれは、出来るだけ長時間酷使すれば良い、というものではありません。
人間には作業のキャパシティがあるため、酷使するほど生産性が落ちてしまう可能性も十分にあります。

待遇の改善や労働環境の整備、福祉厚生の向上などを行なうことで労働者のやる気を出させ、より効率よく仕事が出来る状況を作り出すことも重要です。
労働組合とも相談しながら労働状況の改善に努めていくことが重要になるでしょう。

今回紹介する4つのポイント

では、この先で紹介する4つの業務改善に関する基礎知識について、ここで簡単に紹介します。
まず第一に紹介するのは「コンサルタントを正しく利用するには」という項目です。
すでに軽く触れていますが、業務改善において大きな障害となるのが、自社視点でしか自分たちを見ることが出来ない、ということです。
客観性がない業務改善計画というのは頓挫や失敗の可能性が非常に高いと言えるでしょう。

そういった時に重要なのは、業務コンサルタント・経営コンサルタントという第三者機関を利用することです。
コンサルタントと呼ばれる人たちはその分野におけるスペシャリストであり、客観的に会社の業態を見つめて改善するべき点を提案してもらうことが出来ます。
ただ、何でもその通りにすれば良い、というわけではありません。
自分たちの会社として譲ることが出来ない点、譲歩出来る点を考えながら利用するのが重要です。

二つ目に紹介するのは「目的を見定めた業務改善」です。
目的がはっきりとしていない業務改善は、はっきり言って成功する可能性はほとんどありません。
というのも、目的が自分たちでも分かっていないため、どうなれば成功でどうなると失敗なのかの判断すら行なうことが出来ないためです。
これが成功なのか、失敗なのか、それすら判断出来ないというのは致命的な欠陥です。

実は成功しているにもかかわらず、通り越して改善を続け「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という状況に陥ってしまう可能性もありえないとはいえません。
目的を定め、それに向かって邁進することが業務改善の基本です。

次に紹介するのは「非効率を改善する方法」です。
業務改善には2つの考え方があります。
1つは「得意分野を伸ばす改善」、もう1つは「苦手分野を打ち消す改善」です。
それぞれ行なうべき内容に違いがありますが、ここでは特について紹介します。

非効率を改善するためには、まず何故非効率になってしまっているのか?ということを把握しなければなりません。
ある意味では、業務改善の最大のポイントはこの「問題点のリサーチ」にあり、後者の改善については特にこの傾向が顕著です。

最後に紹介するのは「まずは見える化から」についてです。
見える化、というのは最近の業務改善においてよく言われる言葉です。
会社にとって、「不透明」「不明瞭」である、というのは大きな欠点となります。
この点を解決し、まずは問題点を明瞭にすることが重要になる、というのはすでに説明したとおりです。

では、実際に「見える化」を行なうためにはどのような手法を取る必要があるのでしょうか?
ここではそれについて紹介します。