まずは見える化から

可視化と見える化

業務改善において、最近よく聞く言葉であるのが「見える化」です。
一見すると「可視化」を少し崩したような言葉に見えますが、その実態というのはどのようなものなのでしょうか?
まず最初に「可視化」と「見える化」がどのように違っているのか?ということについて簡単に説明します。

「可視化」というのは、「見ようと思えば見える」状態にすることです。
分かりやすく言えば、資料をだれでも入れる部屋に置く、というのが可視化と言われる状態です。
これでも全く見えないよりは幾分良いのですが、これではまだ足りません。

「見える化」というのは、「嫌でも見える」状態にすることです。
言ってしまえば、仕事用のデスクに常に資料が置かれているような状態だと考えれば良いでしょう。
ただ、これだと意識的に見ないということも可能になってしまいますので、「見える化」において重要なのは「意識的に見たくさせる」ことだと言えます。

では、何故この見える化というのがこれほど重要だと言われているのでしょうか。
これは、人間の行動サイクルというものが関係しています。
人間は行動に移すためにVisible,Recognize,Judegment,Communication,Actionという段階を踏んでいます。
それぞれ日本語にすると「見える」「認識する」「判断する」「伝達する」「行動する」、となります。

つまり、まず最初に「見える」状態でなければ、行動する、までのフローチャートが繋がらないわけです。
そうならなければ、当然業務改善のための活動が活発になりません。

見えるべき部分と見せ方

では、見えるべき部分というのはどこなのでしょうか?大きく4つの分野に分けて紹介します。
まず最初に「状況」が挙げられます。
設備や不具合、顧客情報など、状況に関わる部分が見えるかどうか、ということが重要になります。
これを意識させることが出来れば、業務改善に大きな進展が見られるでしょう。

次に「思い」です。
上記と比べるとわかりにくいですが、会社や上司がどのような方向性を見ているのか、どうやって進もうとしているのか、という思いが見える、ということです。
これが見えないと自分がどう努力していけば良いのか、その方向性がつかめなくなってしまいます。

そして三つ目は「経営」です。
経営状況が見えると、それに合わせて自分の身の振り方というものを考えることが出来るようになります。

最後は「業務」です。
自分の仕事だけしか見えておらず、その他のプロセスが見えない状態のことを指します。
自分以外の仕事が分からないと、仕事の全体像が分からず、やる気が失われます。

「見える化」をするためには、まず「見えない理由」を把握する必要があります。
見えない理由は大きく4つに分類できます。

1つは「セクション設定のミス」です。
部署間のコミュニケーションなどを行えない縦割りになっていると、横のつながりがなく状況が把握しにくくなります。

2つ目は「組織風土の問題」です。
ワンマン経営等の場合に良くある問題で、風土からして見えることが良いと考えられていないことが考えられます。

3つ目は「物理的問題」です。
資料が見えない、業務が見えない、というのは物理的に配置が悪い可能性があります。

そして最後は「思い込み」です。
自分がそうだと思い込んでいるものは、目に見えていても認識されず、行動に移されることがないため、見えていないのと同じです。

これらを考えて、それぞれ改善を進めていく必要があるでしょう。

非効率を改善する方法

業務効率の改善

仕事の中には、必ず「効率がよい分野」と「悪い分野」が混在しています。
業務改善においては前者を伸ばすよりも、後者を埋め合わせる方が伸び率がよいと言えるでしょう。
そこでここでは、非効率な状態を改善するために考えたいことについて紹介します。
最高の効率を常に求め続けることこそが、経営者にとっての責任であり価値となります。

第一に「経営は拙速を尊ばず」というポイントです。
経営開始直後、少し調子がよいとそのままの調子で業務拡大を行って行きたくなってしまいがちです。
業務を拡大すれば、それだけで利益が拡大すると考えてしまうためです。

しかし、現実にはそうではありません。
業務を拡大すればその分だけワークフローの問題が発生しやすくなり、労働者レベルにおける効率悪化が発生します。
重要な労働力を失ってしまう可能性を内包しており、会社の将来を潰す行為です。

次に「新しいものが必ず良いとは限らない」というポイントです。
新しいテクノロジー、例えば最近だとクラウドなどが経営上の新しいコンテンツとして注目を集めています。
こういったものは確かに正しく利用することが出来れば全体を改善することが出来るものの、分からないままに使うと悪化を招くことになります。
新技術は理解し、正しい運用法がわかるまでは手を出さない方が無難です。

さらに「テクノロジー関係の意思決定はひとりよがりにならない」というのも同様に重要です。
システムについての評価というのは、管理者とユーザー、すなわち社員では違っています。
管理しやすいシステムが、必ずしも社員にとって有用とは限りません。
使いにくいシステムが根幹に有れば、当然その分仕事の効率は悪化します。

こういった管理側とユーザー側の齟齬を防ぐために重要なのが「コミュニケーションの重視」です。
会社においてコミュニケーションというのはしばしば見過ごされます。
ですが、会社というのも人と人との集まりである、ということを忘れてはいけません。
しっかりとコミュニケーションを行なうことで、一人ひとりの視点を持ち、寄り添ったシステムを提供することが効率化では重要になります。

改善の失敗を防ぐ

続けてシステムに関するポイントとなるのが「問題発生に備える」ことです。
最近でも情報流出といったような問題は多く発生しており、各社がアタマを悩ませるポイントとなっているでしょう。
何か問題が発生した時に、それに対応できるシステムを構築しておくことは重要です。
一寸先は闇、転ばぬ先の杖、がシステム構築の標語と知りましょう。

さらに、「従業員が扱えるレベルの業務を考える」ということが重要です。
業務が忙しいのであれば、従業員を酷使すれば良い、という考え方は経営者としては下の下です。
人間には作業効率というものがあり、それは作業フローによって支えられています。

オーバーフローを起こせば著しく業務効率が悪化するだけではなく、退職や病気などによってゼロになってしまう可能性もあります。
休職となればその間は規定の金額を支払う必要があり、むしろマイナスに転じると考えましょう。

これはネットワークに関しても同様です。
システムネットワークの負荷もオーバーフローを起こすと作業が停止してしまいます。
このような問題が発生しないように心がけましょう。

目的を見定めた業務改善

目的を定める

業務改善において、最も失敗に直結しやすい状況というのはどんな状況でしょうか?
様々な考え方がありますが、中でも問題となるのが「目的がない」という状況です。
目的なくして業務改善を行なうということがあるのか?と思うかもしれませんが、実際にはこのような改善というのが行なわれ、そして失敗している例が多いにあります。

ただ、業務改善における目的の設定が難しいのが「大きな目的」を1つ定めれば良いわけではない、ということです。
というのも、会社では人それぞれ行っている業務に違いがあるため、1つの目的を目指すとしても、それぞれの現場レベルでは目的が違ってしまうためです。
例えばコスト削減を目的とした場合、立場による違いを考えてみましょう。

経営者の立場から見た目的が「コスト削減」という大きな1つとなります。
これを受けて、部署の人間は「具体的なコスト削減方法の考案と導入」を目的として動きます。
そして、その部下は「その方法の細かい実現方法」を目的とし、社員はそれに沿った仕事を目的として動くわけです。
これではまとまりがなく、最終的な目的が不明瞭になってしまって失敗に直結してしまいます。

現場によって目的を変える

ではどうすれば良いのか?というと、一つ一つの現場を見て、それに合わせて現場レベルで目的を変えることです。
大きな目的だけを指示されても、下の人が独自の判断でその目的を解釈して活動するのでは、最終的な問題解決方法として収束しません。
例えば、末端の社員に対して「コストを下げろ」と注文をつけても意味がない、ということです。
社員にとって重要になるのは、経営改善によって自分たちにも利益があるのかどうか、ということです。

自分達に利益がある、ということが分かれば、それが1つの目的となり、より積極的な活動を誘発することができます。
しかし、これが無いとなると極端にやる気がなくなってしまう可能性もあり、現場レベルで失敗する可能性があるわけです。
大義名分を仕掛けて改善を促すことが目的を見定める業務改善において重要なポイントです。

その中でも、コスト削減がしやすいものがあります。
それがプリンターです。
大半の企業では、プリンターはリース契約をしており、印刷した分だけお金が発生するというものになりますが、最近では定額制で印刷し放題というサービスもあります。

デジタル化が進んでいるとはいえ、紙媒体が必要なときもまだまだ多いです。
そんな時、印刷コストを気にしてしまい、出来栄えが悪い資料になってしまえば本末転倒ですよね。

少しでもコストを抑えたいけれど、印刷枚数などは減らしたくないという場合にもレンタルプリンターサービスをお勧めします。

時間帯別にやるべき仕事

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いつどんな仕事をするか

一日のなかで、どの時間帯にどんな仕事をするべきなのか?ということを考えたことはあるでしょうか?
もちろん仕事の優先度などを自分で選択することが出来ない、という場合については別ですが、ある程度自分で調整して行なうことが出来るのであれば、時間帯別にやるべき仕事を分けて考えることが重要です。
人間は生活リズムによって脳の働きが違っているため、時間帯によって効率がよい時間とそうでない時間があるのです。
効率の悪い時間に仕事をするのと、良い時間に仕事をするのとではかかる時間が違うだけではなく、最終的なクオリティにも差が生まれてきます。

この時間にはこれをする

ではまず、朝の時間帯について見て行きましょう。
朝、つまり寝起きというのは、脳が記憶の整理作業を終えた直後であると言われます。
夢というのが記憶の整理の際に見るもので、その後には記憶の状態が違っているわけです。

この時間帯はとりわけアイディアを生み出すのに適していると言われます。
クリエイティブな仕事をするのであれば朝方に行なうと効率がよくなります。
一般的なサラリーマンであれば企画書や提案書などを作成するのは朝方にすると良いでしょう。
寝起きであることが重要であるため、徹夜明けの朝では意味がありません。

次に、昼から夕方に掛けてです。
この時間帯というのは、脳が活性化して判断力が向上する時間帯となります。
そのため、何かを判断、決断しなけれはならない仕事があるならこの時間を中心に行なうと良いでしょう。
逆に朝の時間帯はまだ決断力が覚醒しておらず、適切ではありません。

そして最後に、夜の時間帯です。
この時間帯というのは、何かを覚えたり、認識するのに効果的な時間帯だと言われています。
上述の通り、寝ている間というのは記憶の整理が行なわれている時間でもあります。
そのため、直前に見聞きしたものというのは記憶整理で取捨選択をする際に残りやすく、知識として取り入れられやすくなっています。

仕事において覚えなければならないことがあるならば夜に行いましょう。
読書などから知識を獲得したい場合にもこの時間帯に行なうのが最適です。

整理整頓と仕事効率

整理整頓をしよう

自分で出来る作業効率の向上方法として、まず最初に紹介するのは「整理整頓」です。
効率の向上とはあまり結びつかないもののように思われがちですが、整理整頓というのは非常に重要な役割を持っています。
では、どのような時にこの整理整頓が効果を発揮するでしょうか?

まず最初に、何か資料が必要になった時の対応に差が出ます。
デスクが整理整頓されていれば、要求された資料がある時でもすぐに見つけ出す事ができます。
片付いていないとこれがどこにあるか分からなくなってしまい、その資料が必要な仕事を進めるのが遅くなってしまいます。
ちょうど交通渋滞と同じように、1つ1つの行動にブレーキが掛かることによって最終的な仕事の効率が大きく停滞することに繋がるわけです。

そしてもう1つこれに関連することとして、「片付けが上手な人はアタマの整理も上手である」ということが挙げられます。
頭のなかで、次の仕事とそれに関わる情報を考えて効率的に動くことが出来れば、その分だけ仕事全体が効率的に進んでいきます。
個人においてはもちろんのこと、誰かに物を頼んだりする場合にはこれは特に重要です。
自分だけでできる事と違って、他人に時間を取られるものの場合、やはり渋滞のように大きなタイムロスに繋がるためです。

片付け上手になるために

ただ、どうしても片付けられない、という人は多いのではないでしょうか。
一時期片付けられない女たち、ということが話題になったことがあるように、片付け自体が苦手な人というのは一定数存在しています。
ここでは、自分が片付けられない人間だ、という人にむけて、意識すべき点を紹介します。

まず最初に、断捨離の考え方を学びましょう。
デスクの上に積み重なっている書類の中には、すでに必要なくなっているものが大量に混じっている可能性があります。
いるものといらないものを仕分けし、要らなくなったものはデスクから避けていくことが整理整頓を進める大事の一歩です。

そのためにも、自分が要るものと要らないものを適切に把握して判断出来なければなりません。
これを思考することによって、仕事全体に対する意識を強化することができます。

もう1つ重要なのが、必要なものをカテゴリー別に分類することです。
例えばA部署向けの書類、B部署向けの書類といったような分類を行っておけば、仕事の依頼に対して答えやすくなります。
こういったことを繰り返すことで、仕事上手になっていくのです。

ロジックツリー

効率低下の問題を見つめる

業務改善を行おうとしても、どうしても失敗してしまう、ということはよくある問題。
では、何故業務改善が失敗してしまうのでしょうか?

その問題点は様々ですが、特に大きな問題点であるのが、経営者が「誰かのせいで失敗している」と考えることだ、と下記サイトでも紹介されています。
>>http://www.itmedia.co.jp/im/articles/1004/21/news107.htm

この「誰か」には、様々なものが当てはまるでしょう。
例えば「ライバル会社」、「政治の方向性」などは外部的要員としてよくやり玉に挙げられます。

確かにこれらの問題は、自分で解決することが出来ないものですが、それを理由にして業務改善が進まない、と嘆いても当然状況は改善しません。
諦めて対応をやめてしまえば、悪化の一途をたどります。

そして何よりも問題なのが、「社員」に責任転嫁をすることです。
経営者として、絶対にやってはいけないのが、「この社員が問題で解決できない」という判断。
社員に問題があるのは経営者に問題があるからだ、と改めて考え、それを元にした経営方針の転換を行っていかなければなりません。

業務改善は、ゴールがあるものではありません。
1つの目的に到達したら、次の目的を見つけて改善を続けることが重要です。

これはすべての企業だけではなく、資本主義自体にも言えることですが、立ち止まると崩壊するように出来ています。
業務改善を人のせいにせず、より根本的な解決を目指すために利用することが出来るのが、「ロジックツリー」の考え方なのです。

ロジックツリーの考え方

ロジック

ロジックツリー、直訳するのであれば「理論の木」。
結果というのは、多くの原因が存在しており、樹形図のように広がっています。

原因には他の原因があり、他の原因にはさらに他の原因があるのが常です。
このツリーをたどっていき、根本原因にたどり着くことがロジックツリーという経営理論になります。

この時、個別の問題に注目するだけではいけません。
同時に、問題同士の縦と横の繋がりにも注目する必要があります。
単独で問題を噴出させているのではなく、よりからみ合って問題となっている可能性もあるためです。

縦の問題というのは、アウトプットとアウトカムの2つの関係性から考えることが出来ます。
アウトプットは自分で出来ること、そしてアウトカムはそれによって起こることを指しています。
この2つは似ているようで全く違った存在なので、間違わずに把握し、業務改善に結びつける必要があるといえるでしょう。

2:8の法則

業務を2:8で考える

ABC分析の項目でも多少触れましたが、ここではより具体的に「2:8の法則」について紹介します。
この法則はパレートの法則と呼ばれることもある、というのはすでに説明したとおり。
このパレートの法則を経営に落としこむためには、まず自分でパレート図を作成しなければなりません。

パレート図の作成の仕方については、下記サイトに紹介されていますので、参考にして下さい。
>>http://www.nsspirit-cashf.com/logical/how_to_make_pareto.html
経営情報からこのパレート図を作成したら、次に法則通りになっているかどうかを確認しましょう。

このパレート図からわかることは、数多くあります。
顧客と売上数のバランスや、商品売上と全体売上の関係、胡椒の原因と部品の割合、プログラム処理と時間の関係、などなど枚挙に暇がありません。
問題がありそうな分野に関してのパレート図を作成し、状況を把握することがまず第一です。

活用の方法

では、実際にパレート図を活用するための方法について紹介します。
最初に行なうべきなのが、パレート図を元にして戦略を考えること、そして、この戦略においてやってしまいがちなミスであるのが、「すべてを解決しようとする」ことです。
業務の改善は、一つ一つやっていくしかない、地道な作業であることを念頭に置いておきましょう。

次に、顧客満足度の調査です。
主にサービスの対象となっていなかった人や、戦略対象ではなかった人から問題が発生しています。

こういった問題を放置しておくと、今度はメイン層にも不満が広がってしまう可能性が出てくるでしょう。
水際で問題を停止させるためにも、それぞれの問題点を見て差別化し、解決に努めることが重要です。

最後に、ウェブ経営の目安にする方法。
ウェブ経営においては特に上位層と下位層との差が大きく、パレート図でも把握しやすくなります。
アイディアの創出に活用するなどして、より良い経営が出来る形態を考案するようにしましょう。

同時に、マーケティング戦略を取ることがパレートの法則の利用において重要です。
ただ図にしただけで満足してしまっては、効果に期待が出来ません。

ABC分析

業務スピードの改善

第一のビジネス理論として紹介するのは、「ABC分析」という理論。
このABC分析というのは、簡単に言うと、「多忙な業務を半減し、業務スピードを改善する」という目的で利用されます。

別名ではイタリアの経済学者の名前を取って、パレートの法則と呼ばれることもあります。
この理論の主幹となっているのは、「多くの経営要素は2:8にすることが出来る」経験則です。

このABC分析に関しては、下記サイトにも詳しく紹介されているので、参考にしてみてください。
>>http://www.s-naga.jp/k-page/17-28.html

一例としては、「売上の八割は上位顧客二割が出力している」、「売れ筋の二割の商品だけで全売上の八割を占めている」などが挙げられるでしょう。
もちろん、業種や企業によってある程度変化し、9:1や7:2になっていることもあります。
いずれにせよ、企業内の様々な部分をA(上位)、B(中位)、C(下位)の3つに分類することによって、業務のスピードアップを図る、というのがこの手法の根幹となるのです。

まずAについては、商品をしっかりと管理し、絶対に欠品を出してはいけない商品。
売上の8割を締める2割の商品がこれにあたっているため、ここが欠けてしまうと、全体の業績に大きく影響します。
同時に満足度などを向上させることが出来る商品でもあるため、ここに力を注ぐことによって、経営全体を向上させていくことができるでしょう。

この分野は、「ニーズ」、「ウォンツ」、「シーズ」という3つのカテゴリーから情報を収集し、改善を行なうことがカギになります。
ニーズは、社会、あるいは個人が要求していることで、これを掘り起こすことで新しい商品分野の開拓に繋がるもの。

ウォンツは、ニーズに対して供給されるもののことを指しています。
そしてシーズは、ウォンツの生産のために必要となるリソースのことです。

次にB分野についてです。
この分野の商品は見極めが肝心。
今後成長し、A分野になることが出来るものなのか、あるいは今後衰退し、C分野になってしまうものなのか、しっかりと見極める必要があります。

扱い方もそれによって適宜変更していく必要があり、この分野の取り扱いによって経営全体が大きな影響を受けることは間違いありません。
出来るだけ短期間毎に調査を行って状況を見極めていくようにしましょう。

最後に、C分類です。
この分野は死に筋と呼ばれる分野となりますが、だからと言ってすべて切り捨てて良いかというと、そうではありません。
少ないながらも顧客が発生しているためです。
ニッチ市場だと考えて供給を続け、提供方法を変えるなどして効率化を図っていくことが重要になるでしょう。

ABC分析からの業務改善

では、より具体的にABC分析を経営に落としこむとどうなるでしょうか。
まず最初に行なわなければならないのが、経営指標における人員の過不足の把握です。
分野によって必要な人材の数や能力が違っており、これを間違いなく分配できているかを確認しましょう。

その上で、業務を時間軸に分類し、適切なフローチャートを作って効率化していくことが大切です。
無駄な仕事に時間を食われるのではなく、有益な仕事に手間を掛けられるようにするのが求められるでしょう。

トヨタ式ホワイトカラーの業務改善

トヨタ式ホワイトカラー改善法

日本に置いて最大の自動車会社であり、世界的にも有名な企業であるのが「トヨタ」です。
愛知県豊田市に本拠地を置くこの会社は、技術力の高さもさることながら、業務の腕も非常に優れています。
そのトヨタの業務改善を元にして考案されたのが「トヨタ式ホワイトカラー業務改善」というものです。
別名、業務プロセス可視化法、とよばれることもあります。

この方法は、経営学の重鎮であるドラッカー博士の助言を受けて作られたもので、業務改善に置いて実際に行なうことが出来る例を示しています。
この業務改善方法には大きく5つのポイントが存在しています。
一つ一つをしっかり見つめ、自分の会社に当てはめた時にどうか、ということを考えてみると良いでしょう。
大きな改善を行なうことが出来るかも知れません。

5つの改善ポイント

まず第一のポイントとなるのが「業務プロセスの可視化」です。
会社全体の業務がどうなっているのか、というのは、大企業になればなるほど末端の人には見えなくなってしまいます。
業務全体に対して自分の仕事がどの部分にあたり、どういった必要性があるのか、ということを把握しているかどうか、ということは仕事をする人にとって非常に重要な役割を担っています。
与えられた仕事だから、ということで漠然と仕事をし続けるのと、自分の仕事にも意味があると考えて積極的に仕事をするのとでは、業務の効率大きな違いが生じることは想像に難くないでしょう。

このポイントにおいて最も重要なのは、仕事をしている人すべてが「自分の仕事には価値がある」と思える環境を作ることです。
自分が仕事をしても意味がない、ただ給料のためだけに仕事をしている、という人が多ければ多いほどマンパワーは低下し、会社全体の士気が下がります。
同時に「時間を無駄にしない働き方」や「自分のスキルが活かせる仕事」というものをそれぞれの人に考えてもらうことも重要になります。

二つ目のポイントは、「仕事のチャート化」です。
これは上述の業務プロセス可視化を行なうための手段の1つだと考えれば良いでしょう。
業務プロセスに置いて、最も小さい単位の仕事がどこにあるのか、ということを把握し、その仕事を基準にして社員の労働能力を見ていく、というものです。
スキルがある人にはよりよい仕事を与えるようにしていくわけです。

こうすると1つ問題になりそうなのが「スキルがない人」です。
このような体制にするとスキルがない人が置いて行かれ、やる気をなくしてしまいそうなものですが、実際にはそうはなりません。
自分の出来る範囲での仕事を考えるようになり、より良い仕事が出来るように考える人を育成することができます。

三つ目のポイントは「適材適所を徹底する」です。
適材適所、というのは言葉にすると簡単ですが、企業でこれを実現するのは簡単なことではありません。
というのも「人材」と「場所」、その両方を具体的に把握していなければいけないためです。
良いスキルを持っている人のことを知らなければ、その人を起用することはできません。

さらに、現場の人数調整についても細かく把握しておく必要があります。
繁忙期と閑散期で、同じ人数配置にしておくのは良い経営とはいえません。
こうすると得てして繁忙期には非常に忙しく、閑散期には人が余るというどちらにも困った状況が発生してしまいます。
部署毎に時期の仕事量をリサーチし、適切に活用していくことが重要です。

四つ目のポイントは「システムの構築を容易にする」ことです。
ここまで紹介してきた方法というのは、「人」を活かす方法です。
一人一人の人材の能力を向上させ、同時に能力を発揮することが出来る場所に配置することによって無駄を省いています。
業務の把握を行ないそれらを行なうだけで、業務上必要となるシステムを大幅に圧縮することが可能です。

大企業にありがちな、認証などで無駄に時間を取られてしまう、というような問題もこの方法を利用することによって抑制することができます。
プロセスが一人ひとりに見えているからこそ、無駄となっている部分がわかり、改善が進むのです。

そして最後に五つ目となるのが「人材を育成する」ことです。
昨今の企業において大きなコストとなっているのが「アウトソーシングの拡大」です。
アウトソーシングは一時的な穴を埋めるのには効果的ですが、長期的に業務すべてをアウトソーシングするとコストが無駄になります。
アウトソーシングを行いつつ、その分野を自分で行なうことが出来る人材を育成していく方が、最終的な費用対効果が高まるわけです。

トヨタ式、というだけあり、どちらかというと大企業向けの経営戦略です。
ただし、中小零細企業においても一人ひとりの力というのは重要な意味を持っているため、見つめなおして経営改善に活かしていくと良いでしょう。

コンサルタントを正しく利用するには

コンサルタントを正しく使う

業務コンサルタントや経営コンサルタントを利用することは、会社の経営状況を詳らかにし、同時に改善の糸口を見つけるための客観的な第三の視点として非常に重要な役割を持っています。
同時に、経営や業務に関する専門家でもあるため、自分たちの知識では足りない部分を補ってもらうことも出来る、非常に重要な存在です。
良い業務改善を行なうためには、コンサルタントを使うということを選択肢に入れないわけにはいかないでしょう。
ただし、コンサルタントの利用というのは、何でも利用してその通りに従えば良い、というものではありません。

まず、コンサルタントについて考えておくべきなのが、「あくまでも経営・業務の専門家である」ということです。
彼らは商売の専門家ではありません。
同時に、あなたの企業が属している職種の専門家でもありません。(コンサルタント業をやっている会社なのであれば別ですが……)
そのことを把握しておかなければ手痛い失敗を犯してしまう可能性があります。

コンサルタントについて最も重要なのは、前述の通り客観性を保有した第三者である、ということです。
これをわきまえずに利用しようとすると、かえって状況を悪化させてしまう可能性もあります。
では、どのような時にコンサルタント利用の問題が発生するのでしょうか?
問題になりやすいコンサルタント利用と、そうしてしまいがちな経営者について紹介します。

コンサルタントの問題点

コンサルタントを使うに当たって、失敗してしまう可能性が高いポイントは4つあります。
まず第一に「経営をすべてコンサルタント任せにする」ということです。
中にはこれが出来る、とういうことを売りにしているコンサルタントもあります。
確かに一時的な問題があり、難局を一旦乗り切ることが出来れば問題がない、というタイプの業務問題に関してはこの利用方法を選択することも不可能ではありません。

しかし、コンサルタントというのはあくまでも経営に関してリスクが発生するようなことはしません。
そのため、経営コンサルタントに全てを任せていると、結局会社として残るものがない、という事態に陥ってしまいます。
ノウハウが会社に残らなければ、今後また問題が発生した時にはコンサルタントに丸投げする、という無駄な出費を増やすことになります。

第二の問題点として「コンサルタントは正解を知っている」と思い込んで利用することです。
そもそも経営というのは、正解があるものではありません。
実際にデフレが起こるまで、デフレという概念が経済学に存在していなかったように、経営においても状況によって新しい局面を迎える可能性は十分にあります。
経営コンサルタントの仕事はあくまでも今までの統計を元にして経営を組み立てることであり、未来視によって正しい答えを見つけることではありません。

第三の問題点は「問題点を隠蔽する」ことです。
会社にとって、見られたくない部分、というのは確かに存在していることでしょう。
特に経営に関しては知られたくない部分が多い分野でもあります。
ただ、問題点を隠したままでは経営コンサルタントに経営の相談を行なうこと自体が無意味になってしまいます。

例えば問題がある部分があるとしても、それを見てコンサルタントが怒ったり、なんてことはありません。
あくまでも相談相手に徹するのがコンサルタントの役割です。
一切問題点を隠さずに提供することでこそ、より良いコンサルを期待できます。

そして最後が「フィーの出し惜しみする」ということです。
ただより高いものはない、という言葉はこの分野においても重要です。
相手は経営に関して責任を負っている存在ではないため、当然報酬を安く済ませようとすればその分仕事も安く済まされてしまう可能性があります。
もちろん、過剰に出す必要はありませんが、適切な報酬で契約を結ぶことが重要です。

では、どのような人が失敗しやすいのか?ということについても加えて紹介しておきます。
まず、自社について把握していない人です。
自分が経営者であったとしても、細かい部分についてまでは把握していない、という人も多いのではないでしょうか。
コンサルタントに相談する以上、出来るだけ細部まで把握している人が適任です。

次に、会社は経営者のものである、と考えている人です。
確かに設立を行ったのは自分かも知れませんし、今主導権を握っているのは自分かも知れません。
しかし、会社というのは人の集合体であり、自分たちだけで成り立つものではない、ということを念頭においておく必要があります。
他の社員の意見を意味がないものと捉えるのではなく、全員が一体となって会社について考える姿勢を示す必要があります。

最後に、視点の基準が自分である、という人です。
経営者である自分の視点が最も正しく、他の人の視点というのは取るに足らないものだ、と考えている人は、経営コンサルタントからの意見も素直に聞くことが出来ません。
そうなると、折角の相談相手が完全に無駄になってしまうでしょう。