まずは見える化から

可視化と見える化

業務改善において、最近よく聞く言葉であるのが「見える化」です。
一見すると「可視化」を少し崩したような言葉に見えますが、その実態というのはどのようなものなのでしょうか?
まず最初に「可視化」と「見える化」がどのように違っているのか?ということについて簡単に説明します。

「可視化」というのは、「見ようと思えば見える」状態にすることです。
分かりやすく言えば、資料をだれでも入れる部屋に置く、というのが可視化と言われる状態です。
これでも全く見えないよりは幾分良いのですが、これではまだ足りません。

「見える化」というのは、「嫌でも見える」状態にすることです。
言ってしまえば、仕事用のデスクに常に資料が置かれているような状態だと考えれば良いでしょう。
ただ、これだと意識的に見ないということも可能になってしまいますので、「見える化」において重要なのは「意識的に見たくさせる」ことだと言えます。

では、何故この見える化というのがこれほど重要だと言われているのでしょうか。
これは、人間の行動サイクルというものが関係しています。
人間は行動に移すためにVisible,Recognize,Judegment,Communication,Actionという段階を踏んでいます。
それぞれ日本語にすると「見える」「認識する」「判断する」「伝達する」「行動する」、となります。

つまり、まず最初に「見える」状態でなければ、行動する、までのフローチャートが繋がらないわけです。
そうならなければ、当然業務改善のための活動が活発になりません。

見えるべき部分と見せ方

では、見えるべき部分というのはどこなのでしょうか?大きく4つの分野に分けて紹介します。
まず最初に「状況」が挙げられます。
設備や不具合、顧客情報など、状況に関わる部分が見えるかどうか、ということが重要になります。
これを意識させることが出来れば、業務改善に大きな進展が見られるでしょう。

次に「思い」です。
上記と比べるとわかりにくいですが、会社や上司がどのような方向性を見ているのか、どうやって進もうとしているのか、という思いが見える、ということです。
これが見えないと自分がどう努力していけば良いのか、その方向性がつかめなくなってしまいます。

そして三つ目は「経営」です。
経営状況が見えると、それに合わせて自分の身の振り方というものを考えることが出来るようになります。

最後は「業務」です。
自分の仕事だけしか見えておらず、その他のプロセスが見えない状態のことを指します。
自分以外の仕事が分からないと、仕事の全体像が分からず、やる気が失われます。

「見える化」をするためには、まず「見えない理由」を把握する必要があります。
見えない理由は大きく4つに分類できます。

1つは「セクション設定のミス」です。
部署間のコミュニケーションなどを行えない縦割りになっていると、横のつながりがなく状況が把握しにくくなります。

2つ目は「組織風土の問題」です。
ワンマン経営等の場合に良くある問題で、風土からして見えることが良いと考えられていないことが考えられます。

3つ目は「物理的問題」です。
資料が見えない、業務が見えない、というのは物理的に配置が悪い可能性があります。

そして最後は「思い込み」です。
自分がそうだと思い込んでいるものは、目に見えていても認識されず、行動に移されることがないため、見えていないのと同じです。

これらを考えて、それぞれ改善を進めていく必要があるでしょう。