企業の成長を妨げる要因として、多くのビジネスパーソンや経営者が直面するのが「営業の非効率化」や「組織としての再現性不足」です。
属人的な営業スタイル、情報共有の不備、無駄なアプローチ、判断基準の曖昧さ……。こうした課題は日本企業で共通して見られ、改善を求める声は年々大きくなっています。
そんな中、注目されているのがABM(アカウントベースドマーケティング)という考え方です。
ABMは単なるマーケティング手法ではなく、「営業の生産性向上」「組織改善」「戦略の実行力強化」を同時に実現できる戦略モデルです。
本記事では、ABMの基礎から実践、組織改善との関係までを分かりやすく解説します。
ABMとは何か ── 組織改善につながる“狙いを定めた営業”
ABM(Account Based Marketing)は、最初から“成果につながりやすい企業”だけにフォーカスし、ターゲット企業を深く理解したうえで、営業・マーケティングを最適化するアプローチです。
従来の「大量の見込み客を集めて数で勝負する方法」とは異なり、ABMでは以下のようなアプローチを取ります。
- 成功確率の高い企業だけを選び、徹底的に深堀りする
- 企業ごとに最適な提案内容・タイミングを調整する
- 営業とマーケティングが同じ情報で動く
- データを基に戦略を改善し続ける
この「アカウント起点」の考え方こそ、組織改善・業務効率化を求める企業にとって大きなメリットを生みます。
なぜABMが組織改善につながるのか?
ABMは営業戦略という枠を超え、組織全体の生産性向上に寄与します。その理由は次の通りです。
1. 営業活動のムダが激減する
従来の営業では、質の低いリードに時間を使ってしまうことが少なくありません。
ABMでは最初から優先企業を絞るため、「成果が出ない営業活動」を削減できます。
結果として、
- 商談化率の向上
- 営業1人あたりの生産性アップ
- 無駄な訪問・メール・提案が減る
といった効果が得られます。
2. 営業部門とマーケ部門の組織連携が強化される
ABMでは両部門がターゲット企業情報を共有し、共通の指標で動きます。その結果:
- 部署間の認識のズレが解消される
- 情報共有がスムーズになる
- マーケの支援が営業に直結する
これはまさに「組織改善」の本質です。
3. 属人化が解消され、再現性のある営業体制が構築できる
ABMツールにデータが蓄積されることで、見込み企業の反応や行動履歴が可視化されます。
これにより、「トップ営業の暗黙知」を形式知化し、誰でも成果を出せる仕組みづくりが可能になります。
4. データにもとづく改善ができる“強い組織”へ
ABMではPDCAをデータで回せるため、戦略の修正も正確。
「勘や経験」ではなく、「数字と行動の事実」で改善できるため、組織の成長スピードが大幅に向上します。
ABMツールの役割 ── 改善サイクルを加速させる基盤
ABMを成功に導くには、ターゲット企業の情報収集や行動履歴の管理、営業・マーケ連携の仕組みが欠かせません。
ここで役立つのが、ABM専用のツールです。
1. ターゲット企業を正確に選定できる
売上規模、業種、成長度、ニーズ、行動ログなどを分析し、「優先的にアプローチすべき企業」を抽出できます。
これによりターゲティングの精度が向上し、勝てる市場に集中できます。
2. 企業ごとに提案内容を変えられる
閲覧ページ、メール開封、過去の問い合わせなどのデータから、企業ごとの関心や課題が分かります。
それに合わせて提案を調整することで、営業の質が大きく向上します。
3. 営業×マーケの情報を一元管理
接点履歴や資料ダウンロード履歴がすべて一つの基盤に集約されます。
担当者が変わっても情報が継承され、組織としての成果が安定します。
4. 効果測定で改善を継続できる
企業ごとの反応をリアルタイムで把握できるため、「どの施策が成果に繋がったか」を数値で判断できます。
改善のスピードも向上し、組織としての成長が加速します。
ABM導入のステップ ── 組織に根付かせる方法
- ターゲットとなる企業(アカウント)の定義を行う
業種・規模・課題・将来性などから「理想顧客像」を決めます。 - 営業とマーケティングで共通目標を設定する
KPIやアプローチ戦略を共有し、同じ指標で動ける体制を整えます。 - ABMツールを導入してデータ基盤をつくる
行動ログ・接触履歴を一元管理し、提案の精度を高めます。 - 企業ごとの提案シナリオを設計
コンテンツ、メール、広告、提案書を企業ごとに最適化します。 - 定期的にデータを分析し改善
成功パターンを標準化し、組織全体に展開します。
まとめ ── ABMは企業成長を支える“組織改善の武器”
ABMは営業だけの施策ではありません。
ターゲティング精度の向上、組織連携の強化、データ活用による改善サイクルなど、企業の根本的な課題を解決しやすい手法です。
「営業が伸び悩んでいる」「組織の生産性を高めたい」「再現性のある体制を作りたい」と感じている企業にとって、ABMは非常に有効な選択肢です。
これを機に、ABMを組織改善の一つの柱として検討してみてはいかがでしょうか。
