コンサルタントを正しく利用するには

コンサルタントを正しく使う

業務コンサルタントや経営コンサルタントを利用することは、会社の経営状況を詳らかにし、同時に改善の糸口を見つけるための客観的な第三の視点として非常に重要な役割を持っています。
同時に、経営や業務に関する専門家でもあるため、自分たちの知識では足りない部分を補ってもらうことも出来る、非常に重要な存在です。
良い業務改善を行なうためには、コンサルタントを使うということを選択肢に入れないわけにはいかないでしょう。
ただし、コンサルタントの利用というのは、何でも利用してその通りに従えば良い、というものではありません。

まず、コンサルタントについて考えておくべきなのが、「あくまでも経営・業務の専門家である」ということです。
彼らは商売の専門家ではありません。
同時に、あなたの企業が属している職種の専門家でもありません。(コンサルタント業をやっている会社なのであれば別ですが……)
そのことを把握しておかなければ手痛い失敗を犯してしまう可能性があります。

コンサルタントについて最も重要なのは、前述の通り客観性を保有した第三者である、ということです。
これをわきまえずに利用しようとすると、かえって状況を悪化させてしまう可能性もあります。
では、どのような時にコンサルタント利用の問題が発生するのでしょうか?
問題になりやすいコンサルタント利用と、そうしてしまいがちな経営者について紹介します。

コンサルタントの問題点

コンサルタントを使うに当たって、失敗してしまう可能性が高いポイントは4つあります。
まず第一に「経営をすべてコンサルタント任せにする」ということです。
中にはこれが出来る、とういうことを売りにしているコンサルタントもあります。
確かに一時的な問題があり、難局を一旦乗り切ることが出来れば問題がない、というタイプの業務問題に関してはこの利用方法を選択することも不可能ではありません。

しかし、コンサルタントというのはあくまでも経営に関してリスクが発生するようなことはしません。
そのため、経営コンサルタントに全てを任せていると、結局会社として残るものがない、という事態に陥ってしまいます。
ノウハウが会社に残らなければ、今後また問題が発生した時にはコンサルタントに丸投げする、という無駄な出費を増やすことになります。

第二の問題点として「コンサルタントは正解を知っている」と思い込んで利用することです。
そもそも経営というのは、正解があるものではありません。
実際にデフレが起こるまで、デフレという概念が経済学に存在していなかったように、経営においても状況によって新しい局面を迎える可能性は十分にあります。
経営コンサルタントの仕事はあくまでも今までの統計を元にして経営を組み立てることであり、未来視によって正しい答えを見つけることではありません。

第三の問題点は「問題点を隠蔽する」ことです。
会社にとって、見られたくない部分、というのは確かに存在していることでしょう。
特に経営に関しては知られたくない部分が多い分野でもあります。
ただ、問題点を隠したままでは経営コンサルタントに経営の相談を行なうこと自体が無意味になってしまいます。

例えば問題がある部分があるとしても、それを見てコンサルタントが怒ったり、なんてことはありません。
あくまでも相談相手に徹するのがコンサルタントの役割です。
一切問題点を隠さずに提供することでこそ、より良いコンサルを期待できます。

そして最後が「フィーの出し惜しみする」ということです。
ただより高いものはない、という言葉はこの分野においても重要です。
相手は経営に関して責任を負っている存在ではないため、当然報酬を安く済ませようとすればその分仕事も安く済まされてしまう可能性があります。
もちろん、過剰に出す必要はありませんが、適切な報酬で契約を結ぶことが重要です。

では、どのような人が失敗しやすいのか?ということについても加えて紹介しておきます。
まず、自社について把握していない人です。
自分が経営者であったとしても、細かい部分についてまでは把握していない、という人も多いのではないでしょうか。
コンサルタントに相談する以上、出来るだけ細部まで把握している人が適任です。

次に、会社は経営者のものである、と考えている人です。
確かに設立を行ったのは自分かも知れませんし、今主導権を握っているのは自分かも知れません。
しかし、会社というのは人の集合体であり、自分たちだけで成り立つものではない、ということを念頭においておく必要があります。
他の社員の意見を意味がないものと捉えるのではなく、全員が一体となって会社について考える姿勢を示す必要があります。

最後に、視点の基準が自分である、という人です。
経営者である自分の視点が最も正しく、他の人の視点というのは取るに足らないものだ、と考えている人は、経営コンサルタントからの意見も素直に聞くことが出来ません。
そうなると、折角の相談相手が完全に無駄になってしまうでしょう。